輪島塗の工程
100以上の工程経てできあがる堅牢優美な輪島塗!
輪島塗って高いだけだと思ってませんか?
高級すぎて使いにくいと思ってませんか!?
確かに高級品ですが、それにはちゃんと理由があります。
多くの工程を経て完成した輪島塗は、堅牢優美、とても頑丈です。
一度購入すれば万が一欠けたとしても修理もできますし、一生お使い頂けます!
◆工程1:漆
■漆かき
天然のヒノキやアテ(あすなろ)の無垢を使った木地、そして、ウルシの樹液である漆。輪島塗りは、森の恵みともいえます。ウルシは、古くから日本に伝わり各地で栽培されてきました。樹皮にキズをつけると、そのキズをふさぐためウルシは独特な樹液を出します。その樹液を集めることを「漆かき」といいます。
■精漆(せいしつ)
◆工程2:木地
木地は器の用途によって形が異なり、それぞれに適した技法を専門とする職種に分かれています。材料となる木材もまた最適なものが選ばれます。
■椀木地(わんきじ)
挽物木地ともいいます。ロクロとカンナを用いて椀、皿、鉢など、丸い形の器を作ります。材料は、ケヤキ、ミズメザクラ、トチなどです。
■指物木地(さしものきじ)
角物木地ともいいます。材料は主に、アテ、ヒノキ、キリなどを使い、重箱、硯箱、膳、角盆を作ります。
■曲物木地(まげものきじ)
薄く加工した柾目板(木目が縦に通った材料)を水に浸し柔らかくして曲げ、丸盆や弁当箱などを作ります。材料は主に良質なアテやヒノキなどです。
■朴木地(ほおきじ)
刳物木地ともいいます。複雑な曲面が多い座卓や花台の足、銚子の口、スプーンなど、複雑な形を削り出す作業を専門とします。材料はホオ、アテ、カツラなどです
工程3:塗装工程「きゅう漆(しつ)」
輪島塗の特徴は塗にあります。それは「本堅地(ほんかたじ)」と呼ばれる漆器の伝統的な下地技法です。輪島はこの技法にこだわり続け、質の向上を図り、伝統として定着させたのです。
■下地
木地の破損しやすい部分に布を漆で貼り付ける布着せ(ぬのきせ)を行い、下地漆には輪島地の粉(じのこ)と呼ばれる地元産珪藻土を焼成粉末化したものを混ぜます。珪藻土は断熱性に優れ、漆と結びつくことで非常に丈夫な塗膜を作ります。
地の粉粒子が粗いものから細かなものへと、一辺地、二辺地、三辺地の順に重ねます。その度ごとに時間をかけて乾燥させ、研ぎを繰り返し、縁などに漆を塗りつける、地縁引き(じぶちびき)と呼ばれる作業を行います。そして徐々にきめ細やかな肌合いへと変化させていきます。
下地作業は「地付け(じつけ)」とも言い、素地の性質を知った上で作業手順、器全体の造形も考慮した地の厚みや、それに伴う研ぎが求められます。品格のある器に仕上げるために、ごまかしの利かない重要な工程です。
■上塗
上塗では、上質の精製漆を刷毛塗りします。ホコリを極端に嫌い、細心の注意を払いながら作業が行われます。
一つ一つ性質の異なる様々な漆を使い分け、その時の季節や気候状況に合わせ、いつでも最適な塗膜が得られるよう、漆を調合することが、技術と経験に裏付けされた上塗職人の実力です。
工程4:加飾
堅牢優美と評される輪島塗の特徴を支えるのが、蒔絵や沈金をはじめとした美しい装飾です。彩りを添えることで、漆器に新たな魅力が加わります。
■呂色(ろいろ)
塗りの仕上げには大きく塗立(ぬりたて)と呂色があります。上塗の肌をそのまま活かす塗立に対し、呂色では専用の研炭で平滑に砥ぎ、漆を摺り込みながら磨く作業を繰り返します。最後には人の柔らかな手で磨き上げます。漆特有の奥深く艶やかな質感が引き立ちます。
表面の仕上げは、呂色や塗立の他にも様々に発展しています。乾燥粉や金粉、みじん貝等を蒔いて仕上げる変塗(かわりぬり)の一部も呂色師の仕事です。
■蒔絵(まきえ)
筆に漆を付けて書き、金銀粉を蒔き付けて定着させ、文様を表します。
平蒔絵、研出蒔絵、高蒔絵等の技法を駆使した多様な表現が可能です。他にも、螺鈿、平文、卵殻といった技法も蒔絵師の仕事となります。
■沈金(ちんきん)
漆器の表面に文様を彫り、漆を摺り込み、金箔や金粉を入れ、装飾を施す技法です。基本的な線や点の彫りに加え、コスリ、片切など、刃先の形状によって多様な彫りが得られます。